恥かき勇者
さっき僧侶の仲間に振られた。もう一年も一緒に旅をしていて、いけるだろうと思ったら無理だった。「タイプじゃないの」と言う言葉をもらった。どういう意味だろう、俺は炎魔法を使えるから炎タイプだとして僧侶は水タイプが好みだったのかな。明日の朝が気まずそうだな。
朝、俺はこの事件を魔法使いの女に打ち明けた。
「で、僧侶は何タイプが好みなんだ?」
「バカね、タイプは顔のことよ」
魔法使いは呆れたように言う。俺は肝心して魔法使いにお礼をいい歩みを進めた。俺らは僧侶、魔法使い、狩人と俺の四人で冒険をしている。王様の依頼で魔王の足止めと討伐を目的としている。正直魔王はめっちゃ強いから今は雑魚の魔物を討伐してその場凌ぎをしている。
狩人の男にも打ち明けた。
「俺、タイプじゃないって」
「一回振られたぐらいで情けないな、百回振られるまで振られたうち入らないんだぜ。魔王の討伐も女心も一緒だぜ、うまくいくまで諦めないことだ」
狩人は熱く語った。俺はまた感心して感謝の言葉を言って歩みを進めた。狩人の弓は百発百中である、魔法使いは凍る魔法に長けている、僧侶は回復魔法が得意で、俺は剣と炎魔法の半端者である。通称火起こしの勇者として重宝されている。
そして気まずい僧侶に話しかけた。
「告白の件だけど……」
俺は恥ずかしくて声が小さくなる。
「勇者くん私はしっかり断りましたよね。まだ何かあるんですか?」
僧侶ななぜか敬語になっていた。原点に立ち返って俺の告白を検討したいのかな。勇気出すぞ勇者だけに。
「やり直そう、こんなにギクシャクしていたら、魔物の討伐どころじゃないよね」
「そうですわね、もう変なこと言わないでよね」
「わかった、それはそれとして俺と付き合ってくれ」
「バカ」
俺は僧侶のピンタをくらった。かなりのダメージだった。心身共に。一体何を間違えたのだろう。僧侶は立ち去ってしまった。魔法使いも狩人も何事というようにぴっくりしていた。
それから気まずい空気の中で、ケンタウロスとの先頭が始まった。ケンタウロスは棍棒で俺に殴りかかる。俺は僧侶のことしか考えられず、踏ん張れずに吹っ飛ばされた。
「うわわわぁぁぁ」
この牛人間め、許さぬ、絶対にぶちどめすと俺は固く誓った。その時僧侶が呪文を唱えた。
「神よ、人々を虐げる魔物に怒りの鉄槌を、ライトニングシャワー!」
凄まじい稲妻がまるでシャワーのようにケンタウロス降り注ぎ、たちまち丸ごけにしてしまった。つ、つよくなった僧侶が。