勘違い勇者
「はははっは、クズども貴様らは皆殺しだ!!」
魔王はそう言うと僕らの冒険者パーティを魔法で蹴散らした。僕だけはなんとか斬撃で相殺したが、3人の仲間はやられたしまった。
「クズはお前だ、僕の仲間に手出してタダで済むと思うなよ」
僕はそう言い、剣を構える。
「フハハッ、俺様に牙を向けた貴様らこそがクズであり、それ以外はクズではない」
「何を言う、お前の征服行為を止めに来た、正義は我にある」
「貴様のような、変わったことをする人間が大勢のものに迷惑をかける。フハハ、自覚したまえ、貴様のせいで不利益を被った全てのものを、貴様の仲間達だって貴様のせいで俺様に殺されたようにな」
「僕はお前という魔王を倒す星に生まれてきたのだ。途中でやめることも逃げ出すこともできない。そして仲間はお前を倒すために集まった、だから僕はお前を倒すまで決して諦めない」
剣と剣が激しくぶつかりある。
「その使命は貴様が勝手に思い込んでいるだけだろ?、俺様が貴様の使命を作ってやってもよいのだぞ」
魔王は不敵に笑み俺にそう訊く。
「魔王を倒すと言う使命は僕にしか果たせないと思っている、そうさ勝手な思い込みだ、だがそれで十分だ」
「そうか、貴様をミンチにしないと俺様の軍門には下りそうにもないな」
魔王はそう言うと重力魔法で僕を押し潰し、闇魔法で追い討ちを加えた。僕は死にかけた。もうなんで生きているのか不思議なぐらいだっだ。全身は真っ赤に染まり、骨は砕け、剣を持つのをやっとだ。
僕は満身創痍で立ち向かう。聖剣に魔力を込め斬撃をお見舞いする。しかし魔王は魔剣で軽々相殺してみせた。魔王と僕の力の差は歴然だった。魔王の全ての攻撃が効果抜群で僕の全ての攻撃は効果今一つであった。
「グハッ」
俺は血を吐き膝をつき、倒れそうになる体を剣で支える。
「その程度で俺様に歯向かうなど、バカで哀れだな、その弱さ、その怠慢、貴様の本質はゴミだ。勘違いクソ野郎だ。そろそろ止めをさしてやる」
魔王はそう言うと魔剣に闇魔法が吸収され、魔剣で規格外の斬撃を放った。
僕はその斬撃をもろに受けて、吹っ飛んで存在自体が消し飛ぶ瞬間だった。
「魔王を倒せるならどうなってもいい、命も、魔力も、どうなってもいい、リミット解除」
俺の魔力、筋力、気力が解き放たれた。俺はとてつもない速さで動き、束の間に何百回もの斬撃を魔王に浴びせて、ありったけの魔力をこめた波動を魔王にぶつけた。
「おのれ、よくもこの俺様を」
魔王は消し飛んだ。僕は力尽きた。