ヨーナブログ

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不安で都合のいい言い訳を並べて逃げる兵士のゴミみたいな物語

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「なあ、お前なんてクソの役にも立たないろくでなしだ」

 と兵長が俺に向かっていう。今街が魔物に襲われて見習い兵の俺は剣を持って戦おうとしているところだが俺は怯んでいた。

「少しでも役に立ちたいんです」

「むりだ、お前は足手まといでしかない」

「盾になることぐらいならできます」

「お前は盾にもなりはしない、邪魔だ、わかったらとっとと逃げろ」

 兵長にそう言われ俺はジブジブ逃げた。

◆◇◆

 街は魔物により陥落してしまった。オークやケンタウロスやゴブリンなどの大規模の集団だった。今から街の奪還作戦が行われる。俺もその作戦に加わることになった。王国の騎士などが指揮を取る、魔物と人間の総力戦だ。

「お前は今回もどうせ逃げ出すだろ、だから今のうちに消えてくれ」

 騎士様が俺にそう言う。

「今回は逃げないです、どんなに絶体絶命な状況でも打ち勝つ道を探します」

「俺はお前が逃げない根拠がないと信用できない、信用できない味方は敵よりも厄介だ」

「では背水の陣で挑みます、騎士様、もし俺が逃げた時は打首にしてください」

「信用した、共に戦おう」

 騎士様はやっと俺を信用してくれた。そして騎士団長が号令をする。「魔物を殲滅し、街を奪還せよ!」号令と共に俺たちは突き進んだ。

◆◇◆

 俺はオークと戦っている。オークのとてつもない腕力から振り下ろされる棍棒を剣でいなすのが精一杯だ。そしてオークの棍棒が俺の頭に直撃する。俺は吹っ飛び頭からの流血は水溜まりのようになった。

 俺は生きているのか。あったかいな、ああ俺の血か、誰の役にも立てなかったな。オークの1匹ぐらい倒したかったな。不甲斐ないな俺は、いつも都合の良い言い訳をして逃げてばっかだ。

 もう動けないや、何もかも諦めよう、今、目を瞑って寝てしまったほうが楽そうだ。

「逃げないんじゃなかったのか」

 声が聞こえ俺は目を開くと、そこには馬から落馬したと思われるボロボロの騎士様がいた。

「もう動けません」

 俺は全てを諦めたようにそう言う。

「戦うということは、生きることからも逃げないことなんだ、相手からも逃げない、自分の弱さからも逃げない、自分の限界からも逃げない、ことだ、いいから立て」

 騎士様に腕を捕まれ何とか立つ、頭がぼーっとしてフラフラだ。

「でももう動けませんよ、今にも倒れてしまいそうです」

「お前がもう一度倒れたら俺はもう起こさない、だがなもう無理だと思う時に踏ん張れるかどうかが唯一自分に勝つということなんだ」

 俺は歯を食いしばった。