冒険者が伝説の龍の惨状を確認しに旅をする、仲間の仇を打てるのか
有名な冒険者パーティーの全滅の噂がギルド中を駆け巡った。そのパーティーは剣士、魔法使い、武闘家の3人で構成されていて3人とも英雄的な戦士だった。剣士には僕も稽古をつけってもらっていた。剣士のカインは間違いなく剣の腕がピカイチでとても優しい人だ。
僕は受付嬢に噂の真相を聞いた。
「剣士カインたちのパーティーが殲滅したのは本当ですか?」
「本当そうよ、なんとも伝説の獄炎竜と遭遇したらしく、あたり一体は焼け野原になっていたって聞いたわ」
と受付嬢は困った顔をして言った。
「現場はどこですか?」
「獄炎龍の現場はアルステ王国北の森だわ」
「ちょっくら様子を見に行ってきます」
「気をつけてね、なんか依頼受けていく?」
「そうですね、Bランクの討伐依頼をお願いします」
「じゃ、アステカ王国にも近いし、ジャイアントフロッグの討伐はどうかしら?」
「それ受けます」
依頼を受け俺はアステカ王国を目指した。
◆◇◆
アステカ王国への道の途中で旅商人のアルベルトに出会って野宿を共にすることになった。
「アステカ王国に行くのはやめておきな」
アルベルトは焚き火で焼いた肉を食いながらそう言った。
「なんでだ」
「そりゃ獄炎龍がでるからだよ、俺の知っている旅商人も数人消息不明になっちまったよ」
「アルベルトもアステカ王国に行くんだろ」
「おりゃ、旅商人が近ずかねぇ場所で一儲けするためよっ」
「僕は伝説である獄炎龍の災害状況を知りたいんだ」
「お互いどうしても行かなくちゃならない事象があるんだな」
「そうだな」
「「はははっははは」」
僕たちは笑い合い、覚悟を確かめ合った。
◆◇◆
僕たちはアステカ王国に到着した。城下町は普通に賑わっていて煉獄龍が猛威を振るっている感じはしない。僕は不思議に思い。野菜や果物を売っているおじさんに話しかけた。
「獄炎龍が周辺の森を燃やしていると、伺っているのですが商品は大丈夫なんですか」
「ああ周辺の森は燃えているぜ、だけどなぜか農作物とか城下町には被害がないぜ」
「ふしぎですね」
「そうなんだよ、ところでりんごは一個どうだい?」
「じゃあ、一個頂きます」
「毎度あり」
アステカ王国の現状を不思議に思いつつアルベルトと別れ、北の森に行くことにした。
◆◇◆
僕は凄惨な現場を目の当たりした。森は一面真っ黒でところどころ燃えていた。そこには剣士カインの剣があった。本当にやられてしまったことがわかり残念な気持ちになる。
感傷に浸っていると後ろから旅商人のアルベルト現れた。
「アルベルト、なぜここにいるんだ」
と僕は訊く。
「俺が獄炎龍だからだ、悪いがお前には死んでもらう。お前のキルドに現状を詳しく伝えてもらうと困るからな」
アルベルトはそう言うと人間から立髪が燃えさかっている真っ赤なドラゴンに変わった。そして火を僕に向けて吹いてくる。
僕は何とかかわし剣を振りかぶる。煉獄龍は飛び上がりそれを避ける。
「アルベルト、お前の目的は何だ」
と僕は訊く。
「金だよ、そのためにライバルの旅商人を消し、面倒な冒険者を消すのさ」
「俺はお前を許さない、お金のためだからって人を傷つけていいと思うなよ」
僕は剣に全ての魔力をこめ振り下ろす。煉獄龍を一刀両断した。