奴隷勇者
俺は魔王に敗れ、奴隷として地下に潜り銀を掘り出す過酷な労働を強いられている。この地下だけで何百もの人が閉じ込められていて毎日たくさんの脱落者をだす凄惨な状況である。俺自身も何度も挫けそうになったがその都度魔王を打倒するという目標を思い出し踏ん張った。
一日一回の食事の時間になり、いつものように丸いパンが一つ配布される。少なすぎる。でもこの量が魔王軍にとっては都合がいいのだ、奴隷は死にそうなぐらいが反乱せずちょうど良く、食費はできるだけ抑えた方が利益を最大化できる。
俺は奴隷仲間のトムに話し掛ける。
「今日はなんとかノルマを達成できそうだな」
「だな、見せしめの犠牲者は出さずにすみそうだ」
トムはそう言うと泥のような水を飲んだ。俺ら奴隷にはノルマがあり、ノルマを達成できない日には最も成果をあげれなかった人が殺される。それも無惨にオークに食われる。俺には勇気も体力も自信もなくその無惨な現場を傍観することしかできない。
なんで俺はこんなにも弱いのだろうか。オークをぶん殴ることもできない。ぶん殴っても現状は好転するわけではなく、ただ正義を果たせたと自己満足に浸るだけだから殴れないのか。でももう傍観することに耐えられない。
「トム、例の伝説の剣が掘り出されたと言う話だが本当なのか?」
「本当だ、皆んなその伝説の剣でお前が現状を打開してくれること願っている」
「わかった、みんなの無念を晴らすために剣を振おう」
俺はトムから伝説の剣を受け取った。この剣はなぜか土の中に埋まっていて奴隷にめぐりめぐり俺な手に来たようだ。剣はしっかる手入れされていて、汚れもなく、切れ味も良かった。まさに奴隷たちの思いがこの剣にこめらていた。
人間界には伝承があり、土の中に埋まっている剣が魔王を討ち滅ぼすとされている。だから奴隷たちの間で伝説の剣を呼ばれている。俺は試しにグリップを握ってみた、とてつもない力が俺に流れ込むこれなら魔王を討てるかもしれないと思える。
その時突然魔王軍から集合命令が下り、地下の中央広間に俺たちは集められた。
「今日、この奴隷が労働せずに病人を看病していた。時間の無駄だ。こようなことがないように見せしめに食う」
オークはそう言うとその奴隷を食おうとした。俺は今しかないと思い、オークに突っ込んだ。
オークを一刀両断、真っ二つにした。
「俺が魔王を倒す、みんな立ち上がれ」
奴隷の間で凄まじい歓声が響いた。俺は無双してみんなと地下から脱出することに成功した。