ヨーナブログ

いろんなことを書いてます

むずい

 邪悪の気を纏った大剣が俺の心臓を貫いた。

 大量の血液がこぼれ落ち、視界がぼやけ思考が停止する。

 風穴が空いた胸に手を当て回復呪文で修復を試みる。

 しかし簡素な魔王城にできた俺の血溜まりは広がっていった。

 なすすべなく俺は死んだ。

 

 「おい、ヨウタ起きろ!」

 「ふぁんんん」

 使い魔ゴン太の甲高い声で起こされる。そして俺の名前はヨウタ、不機嫌に起きるのが日課だ。

 この世界の現状を知れば誰もが無理に起きることを拒むだろうと思いつつ根性で起き上がる。

 「今世は記念すべき1万回目のリスタートだぞヨウタ、最弱だった君がこうして魔王の目前まで来ている、後少し頑張るぞ」

 ゴン太はミニドラゴンで小さな翼をはためかせ俺を鼓舞する。

 俺とゴン太は数奇な運命を共にしている。俺は死に戻りをくり返し、ゴン太は俺の死に戻りを全て把握している唯一の生物だ。

 他の人々や使い魔は死に戻りを信じてくれはしても苦悩を理解してくれるものはいなかった。

 その点で死に戻りを全て把握してくれるゴン太はかけがえのない存在だ。

 「よし、鍛錬するか」

 俺は剣を携え家を出た。