洞窟の冒険
1
白く光り輝き先の見えない壁を俺は通り抜けようとしていた。その壁は結界であり中に入ることはできても外に戻ることはできない代物だ。
生半可な決意では到底踏み入ることのできないその壁を抜ける。生きている人が死後を知りたいと思うように、壁の向こうを知るたいという好奇心と、十年前に踏み入れた師匠に会うために、そして冒険家としての性がそうさせた。
壁の向こうには巨大なドーム状の洞窟が広がっていて、見たこともない宝石で明るく照らされたいて、日の光もないのに木々が生い茂り、見たこともない大小さまざまな動物や昆虫がいた。
俺の新しい冒険が始まった。
2
三日ほど洞窟を探検したところで巨大な蜘蛛に遭遇した。色は黒と赤でいかにも毒のありそうな蜘蛛だ。大きさは俺の腰ぐらいもある。
俺は警戒してナイフを持ち一本道を引き返す。だが巨大蜘蛛は俺に襲いかかりのしかかってきた。
俺はナイフ突き刺し応戦する。さらに蜘蛛は糸を吐き俺を転がし繭にしようとする。俺は得意の雷魔法を出し焼き切る。
「ぎぎゅううう」
蜘蛛が一歩退き咆哮を発した。
俺はここぞとばかりにナイフに稲妻を纏わせ上から下に振った。ナイフから雷が飛びたし蜘蛛に直撃した。
蜘蛛は動かなくなり俺は命のやり取りに勝てた安堵に浸った。
「おーい」
一本道の奥から声が聞こえ俺は声のする方へ向かった。そこには蜘蛛に繭にされたであろう物が無数にあった。俺は声がする繭をナイフで切った。
出てきたのは髭の白い老人だった。老人の意識は朦朧としていて今にも消えてしまいそうな命だ。
「お主あの蜘蛛を倒したのかい?」
「はい」
「安心した。ありがとう。」
そういうと老人は息を引き取った。
命は想像以上に儚く、残酷に失われる。安心と安全を手に入れるために人は努力をする。老人にとっての安全や安心とは何だったのだろう。これから蜘蛛に襲われる他人の命を危惧していたのだろうか。
他の繭はさまざまな動物昆虫が捕らえらていた。