ドンソン博士の冒険4
「わしはあんずの祖父にして村長のタケだ。ドンソンよ、ゆっくりしていってくれ」
タケさん通称たけじいは白髭を生やした小柄な老人だ。そして僕はあんずの案内でふるつ村に来ている。なんだかんだ1時間ほど歩いた。村は総勢100人程度で現代では考えられないほど団結力があるように思われた。
しばらくゆっくりした後、あんずと獲物狩りをすることになった。ひもと枝でできた原始的な弓と棒に尖った石ついた槍を持ち出かけることになった。獲物は鹿である。こんな道具で捕まえられるわけがないと言ったが、あんずは捕まえられるという。
歩いているとすぐに鹿を発見した。僕は弓で狙うが全く当たらないそれに鹿は警戒心が強くすぐに逃げられてしまった。ところがあんずは発見する次第凄まじ投げやりで鹿を貫いた。
鹿を棒に吊るして運んでいたら、謎の複数の人が接触してきた。
「おまえのしていることは未来を壊す行為だ、抵抗せず死ぬか、抵抗して死ぬか選べ」そいつらは僕に向かって脅してきた。時間を管理している組織がいるとは聞いていたが本当にいるとは。
「なぜ死ななくてはならない?未来を変えることの何が悪いのだ?」
僕はできるだけ穏やかに応対した。
「未来の利益を守るためにおまえには死んでもらう」
「どいつもこいつも金のためか、ああうんざりするよ、金さえもらえればなんでもするお前たちにな、確かに金は大切だ、金がないと生きていくことはできない。だがなんでもできるお前たちが嫌いなんだ。だからお前たちに殺されるわけにはいかない」
「偽善者め、金こそが全て、金があればなんでもできる。金がなければ惨めになるだけだ。おまえの偽善は何も守れない」
そう言うと謎の組織は銃口を向けた。それは現代またはそれ以上の銃だとみられる。
「ああ、目に見えるものは何も守れないかもしれない、けど僕が僕であるために譲れないやさしさがそこにあるんだ。正義でも偽善でもない強いて言うなら僕が僕であるための誇りだ」
「じゃ惨めに死ね!!」
無数の銃弾が飛んでくる、僕は回避して木に身を隠しながら全速力で逃げる。あんずは大丈夫だろうか。巻き込んでしまった。金は悪くない悪いのは悪意の保身だ。ああまた、適当な正義を振りかざしたくさんの人を不幸にしてしまった。
本当の優しさは保身を受け入れることなのかもしれない。弱さを許すことなのかもしれない。多様な性格を尊重することにあるのかもしれない。どれらけそれらに迫害されていようと。優しくすると決めたからには許す他に道はない。