ヨーナブログ

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ドンソン博士の冒険3

「どこの部族かしら?」

 僕は突然皮の衣を身に纏ったグラマーな女性に話しかけられた。僕は慌てふためき真実を話してしまった。

「未来から来ました、信じてもらえないかもしれませんが事実です、事実は小説よりも奇なり物事は複雑怪奇です」

 言葉が通じることに安堵しつつ、もっといい受け答えがなかったのか後悔した。

「あらそう、可笑しな人ね」

「そうです、私はおかしな人です、できればここら辺を案内してくれませんか?」

「いいわよ、未来人さん名前は?私はあんず、よろしくね」

「僕はドンソンと申します、あんずさん、よろしく」

「じゃとりあえずここは私たちのふるつ村とべじた村の境だわ、川を登ればふるつ村、降ればべじた村だわ」

 あんずさんは村の方角を指差しながら教えたくれた。ここは実に豊かで果物がなり川には大きな魚が泳ぎ村に囲まれているのも頷けた。

「あんずさんの村に案内してもらうことは可能ですか」

「案内できるけど殺されるかもよ」

「本当ですか!!」

「冗談よ」

あんずさんは笑えない嘘をつき、ビビった僕をみて笑っていた。

「わらえませんよ、あんずさん」

「ドンソンが怯えすぎなのよ、あなたが思っている以上に人は優しいものよ」

「優しいですかね?僕は僕を含め人の身勝手さに疲れています」

「そうね、ドンソン、人は完璧ではないわ、不完全を受け入れることが優しさの交換には必要かもしれないわ、だって自分の不完全を受け入れてくれる人が優しい人でしょ?」

「そうですね、相手の不完全も自分の不完全も受け入れる。仕方がないと、そうなるべき人生だったと、そうならざるおえない人生だっだと、そうせざるおえない人生だっだと」

「うん、人はみんな違うんだよ遺伝子も成育環境も性格も、だから身勝手には理由がある。一概に優しくないと決めつけるのではなく、寛大に受け入れて思いやりを持つことが重要かもね」

「でもあんずさん受け入れ難いですよ」

「受け入れ難いのがドンソンの性格だから受け入れなくてもいいかもしれないわね、いつか受け入れられる人に出会えるかもしれないわ」

「すごく優しい人を助けにこの時代に来たんです」

「そうなんだ、でもどんなに受け入れ難くても思いやりを忘れないことが人間関係を円滑に進めるには必要なことよ、みんな満身創痍だから私たちぐらい優しくないと辛いだけじゃない」

「感情を抑えて情熱と思いやりをもって優しく接することが強さなのかもしれませんね、みんな疲れているから」

 僕とあんずはふるつ村を目指し歩みを進めた。